スラムダンクをスラムダンクたらしめているのは、安西先生にほかならない【『スラムダンク』感想】

第一印象:不良漫画

20年前から履修漏れしていた「スラムダンク」を、先日ついに読了しました。

第一印象は「不良漫画」でした。まぁこれは仕方ない。

もちろん、読み勧めていくにつれて「めちゃくちゃ熱いスポーツマンガ」に変わっていったのだけれど、その中でキーパーソンになっているのは間違いなく安西先生だなと思いました。

安西先生が『スラムダンク』を「いい感じのスポーツマンガ」に留めなかった

名作決定の瞬間

まずは三井のセリフですよね。

ページを捲った瞬間に訪れる「バスケがしたいです」という名言は、スラムダンク序盤屈指の名シーンだったなと思います。事実、僕もここでハマった実感がありました。

そもそも僕は、スラムダンクのことを全くといっていいほど知らなかったので、この名言、花道のセリフだと思ってたんですよ

だから、まったく予想もしていなかったタイミングで三井がこのセリフを発したので、一気に持っていかれてしまいました。

常に”この先”を期待させる名将

花道の練習に安西先生が付き合う、試合中に花道を呼ぶ、そういった場面場面で、「安西先生にはなにか思惑があり、花道をさらに活躍させてくれるのだ」と、期待しながら読んでいました。

実際そうだったし。

この先の「花道が強い展開」を期待させてくれるからこそ、どんどんを先を読み進められる。とくにジャンプシュートの1on1合宿なんかはすごくよかった。

個人的にこの立ち位置と安心感に『ハリー・ポッター』のダンブルドア先生を思い出しました。J.K.ローリングは『スラムダンク』のファンなのかもしれないです。

育成に失敗した過去と、花道・楓

また終盤に向けて登場する、過去に指導していた谷沢という生徒とのバックボーンは、ものすごく刺さりました。

というのも、山王戦での花道の「オレは今なんだよ」というセリフが大好きなため。

ここでは描かれてこそいませんが、谷沢に比肩する才能を目の当たりにして、谷沢を思い出してしまっている安西先生と、選手生命を犠牲にしても「今」試合に出る花道の対比には、クルものがありました。

神シーンを神シーンたらしめる絶妙な空気づくりがイイ

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中学校三年間で50人もの女の子にふられ続けた悲しい男・桜木花道。50人目の女子生徒に「私、バスケット部の小田君が好きなの」と言われたショックが尾を引いて、湖北高校へ入学してからも“バスケット”という言葉に異常に反応し、立ち直れずにいた。そんなある日のこと、一人の美少女から声をかけられる。「バスケットはお好きですか?」彼...

もはや書く必要もないことかとは思いますが、序盤からはられ続けた花道&楓のチームプレーの伏線が、最終戦で回収されるのは痛快の極み。いや、分かりきってはいることなんですが、回収の瞬間は最高でしたね。

ここ、クライマックスに向けて無声映画になっていくわけですが、「ハイタッチ」までをすべて無声映画で書ききってしまっていたら、ある種「ただのかっこいいシーン」になっていると思うんです。

で、この自明な名シーンを、「予想通りの名シーン」に留まらせず、より印象づけるものにしたのが「左手は添えるだけ」というワードチョイスと、その時の花道のただかっこいいだけではない絶妙な表情なんですよね。

この一瞬の味変(?)があるからこそ、シュートからハイタッチまでの一連の描写がより一層際立つというか、名シーンが神シーンに変わった瞬間と言うか。

花道のキャラの賜物なんですが、『スラムダンク』をこうして思い返してみると、「そのまま描くとただのかっこいいシーン」に、花道のチョケたキャラがいい感じに緩急をもたせて、読んでいて「ストレス」を感じない神シーンになっている気がします。

ちなみに、その味変の筆頭が安西先生の顎タプタプですね。そういう意味でも安西先生の存在は重要なわけです笑

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